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声掛けの素晴らしさが科学的に証明された

6月9日にNHKのサイエンスZERO実に勉強になった。犬を飼っている飼い主が愛情をもって接しているとオキシトシンというホルモンが人間からも犬からも分泌されるようになってお互いが愛情を感じられるようになるという内容だった。

こうなる理由は人間も犬も幼少時期は周りの教えに対して従順で、様々なことに興味を持つようになっている。これは集団で生活するために周囲と協力しながら生きていくためにまず必要なことであり、生きていくためにまずこれを学習することが必要なのだ。この意識がないと周囲と常に反発しあい集団の中で生きていくことができなくなるため、集団や組織の中から疎外されていく。結果として個体として生存していくことができなくなる。

このため周囲の手助けがないと生存できない幼少期は周囲に対して協力的で、好奇心旺盛な脳の活動をする。幼い動物に特徴的な行動は実は集団で生きていくために最初に必要なことを脳が実践しているのだという。

生まれながらの一匹狼というのは存在しえないということだ。

やがて成長して単独で生きていくことができるようになると自我が芽生えて周囲と敵対するものも現れてくるが、反対に成長しても幼少期に持っていた従順で協力的で好奇心旺盛な脳を維持している場合もある。これをネオテニー(幼形成熟)というらしい。

この理論を適用すると最近問題になっている「切れる老人」問題の原因は実に明快である。年を取って幼少時に持っていた協力的な気持ちがすり減ってしまった。この問題でよくある老人の年齢は就職するまでは常に受験戦争にさらされ、就職後は常に競争にさらされ協力や好奇心が満たされることは少なく、挙句不況の中パソコンやIT機器など慣れないものを導入され本来は尊敬されるべき年齢に達したが逆にお荷物扱いを受けて惜しまれずに退職を迎えるという年代である。

退職により世間に放り出された結果、一部の人たちが野生化してしまったと考えると納得できる。もちろんこの世代のすべてがそうだとは言わないが自分の周りでもそうした人はたまに見る。恐ろしいのがそうした人まで含めてサービス業界の客であるという点である。

サービス業界ではこうした人達を含めてどのように対応すべきなのか?大小問わず様々な店舗の悩みの種といえよう。しかし、このテレビの内容からいくつかの解決策が考えられる。野生化してしまうのは幼少期にはあった協力的であり好奇心旺盛な脳が長いこと刺激を受けていないことが要因である。それを呼び戻すためにはどうすればいいか?一つにはこうした野生化してしまった人達に幼少期を思い出させるような刺激をあたえることではいか?切れる(野生化してしまった)老人といわれる人達も子供のころは周囲から「おはよう」とか「今日もかわいいね」とか声をかけられ、かまってもらえていたはずである。

サービスを提供する側がこうした活動を行ってみてはどうか?野生化してしまった人でも「おはよう」と言われて不快に思う人はいないだろうし、自分が周囲に認知されているということに気が付くと行動が変わってくるのではないだろうか?自分が周囲に認知され理解されていると思えば、次の行動もそれを意識したものになるはずで、これを繰り返すとやがて野生化したものが社会化してくるのではないだろうか?

自分より年が上の老人になんでそこまでと思う人もいるだろうが、そこはサービス業なのでその先に商品を買ってもらう対価のためと割り切るべきであろう。こうした活動をすることなく単に「切れるから」という理由で当該者を排除してしまうと野生化はさらに顕著になるだろう。もちろんこうした活動を何度かしても全く効果がない重症な場合にはこの方法の継続は難しいかもしれない。

テーマパークではゲストに声をかけろと指導することが多いが、その理由は「サービス業だから当たり前」など明確でないことが多い。ゲストに声をかけることは、施設側がそのゲストを認知し施設として受け入れていますという意思表示であり、それはゲストの野生化を予防するためにとても有効な方法なのである。ゲストを悪い方に変身させないために行うと考えれば、忙しいからやらないとか、大した効果が期待できないからやらないという言い訳は出てこなくなるはずである。

ネオテニーなゲストなど少数であり、切れる=野生化する人間がほとんどである。お互い野生化しないために声を掛け合うことは施設の安全上とても有効な方法であり、子供のころに持っていた好奇心こそゲストの消費を伸ばすことにつながっている。声掛けにはちゃんとした科学的な根拠があるのだ。

「誰もが子供に戻れる場所」というディズニーランドのコンセプトは実に科学的である。ネオテニー化させることがサービス業の売上アップの秘訣なのである。