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サービスの考え方の違い@ディズニーランドパリ

ディズニーランドパリに行った時の話です。行く前にネット情報を見たところ幾つかのサイトでは「日本よりサービスが悪い」という内容の記事を見かけました。そんな先入観も多少あってのことですが、東京ディズニーランドのような挨拶もないし、アトラクションに乗るときも乗り場を指さすだけで声も何もかけてくれません。同じディズニーでこんなに違うのはなぜなのか?この理由は何か?とても興味がわいてきました。

まずは日本のサービスについて考えてみました。日本では「サービス」は礼儀正しいことが前提になっています。サービスは奉仕と訳されることが多いのですがその奉仕は礼儀正しさが伴っていないと“良い”とは見てもらえない場合が多い。つまり「サービス<礼儀」という関係を重視する国だといえます。これは日本語という言語が丁寧語、謙譲語、尊敬語と三種類もの敬い表現を使い分けるものであることも起因しているように思います。

一方で欧米では英語にしてもフランス語にして日本語のような敬語はありません。礼儀正しく言った場合でもそうでない場合でも言葉に大きな違いが出ることはほとんどありません(出るのかもしれないですが、外国語に精通していない日本人には理解できないと思います)。

サービス産業をホスピタリティ産業という人もいますが、観光学などの文献を見るとサービス業の進化系の一つがホスピタリティ産業として扱われているようで、サービス業のすべてがホスピタリティ産業に該当するというわけではなさそうです。

こう考えるとディズニーランドパリはあまりサービスが良くないという日本人の意見はどうやらホスピタリティという面で見た場合の評価であり、より広義なサービス産業の視点で見た場合にはそうではないのかもしれません。

「相手の話を聞くときは目を見て」とか「手で指し示すときには手を開いて指を伸ばして」というのは、ホスピタリティに該当する所作であり、こうしたことは欧米ではあまり重視されていません。

むしろ彼らが重視しているのは「正確に情報を伝えること」であり、日本人のように外国語の不慣れな人に対しては通常よりもゆっくり話すことなどを重要に感じているようです。欧米の人は「ゲストが不便な思いをしないように」することがサービスの第一義であり、そこに礼節に関しての対応は二の次です。

日本人が外国(特に欧米)に行ってサービスが良くないなと感じる理由は、サービスに対しての考え方が根本的に違うからというのがフランスで気が付いたことでした。

ゲストとスタッフという関係で見た場合サービスは両者をつなぐコミュニケーションであり心理学でいう“迎合”という技術が使われます。この迎合は褒めたり賞賛する「賛辞」、相手の意見に同調する「同意」、自分を卑下して相手を持ち上げる「卑下」、相手に喜ばれるように気配りをする「親切」という4つに分かれます。ホスピタリティーにつながるのが卑下であり、欧米の方は親切を重視するようです。これは単一民族と多民族、島国と陸続きということも大きく関わっているように思います。単一民族で島国の日本では稲作が普及していこう定住志向があり、外地から来るものは敵か村長が認めた上客。敵は排除されますが、もてなす側は自分を卑下して上客をもてなします。その際失礼は許されない。一方で多民族の場合全てを敵としては孤立して滅んでしまうから同盟関係を結び認めたものとは仲良くする。定住するものばかりでないから敵意さえ見せなければ最低限の“親切な”もてなしはする。こうした地勢的、民族的な背景が関係しているように思います。

フランスでは笑顔もないし、自分の目を見て話しをする人ばかりではありませんが、話すスピードは自分が理解できるようにゆっくり話してくれます。(知らないからでしょうが)日本語の単語を出してくるわけではありませんが、英語でゆっくり話してくれてこちらがちゃんと理解するまで何回も説明してくれます。とっても親切でした。これがきっとヨーロッパ流のサービスだと思います。つまりサービスとは親切が一番大事というのがヨーロッパの人の考え方のようです。

こう考えると日本人としてちょっと考えなければいけないことに気が付きました。

礼儀正しいけれど、無理して相手の言葉に合わせて正確に情報を伝えきれなかったり、早口の日本語でまくし立ててしまったりしては彼らの思うところのサービスのレベルからすると評価が低くなります。つまりヨーロッパの人の基準で考えると日本人のサービスはすべてがパーフェクトというわけではないということになります。彼らが望むサービス(=親切)に加えて日本人が元来得手とするホスピタリティが加わればもちろん間違いないですが、日本のサービス業では無理して相手の言葉を並べて対応するように指導しているところも見られます。

丁寧な所作で礼節は完璧でも片言の相手の言語で無理に同意を求めていくサービスはダメだということです。そんなことよりも日本語とゼスチャーで相手の求めていることを理解して対策を伝えてあげる“親切”な対応を彼らは好むのです。

英語を理解しているフランス人は英語では話してくれないという話を昔聞いたことがありますが、今回の来訪時は英語で話してくれる上に、自分の非力な英語力を見越してスピードを調整してくれるだけで十分に良いサービスをしていると自分には思えます。それが腕組みしながらだったり、サングラス越しだったとしても・・・

 

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