USJが二年連続で入場者数日本一になった理由

目次

  1. USJが日本国内最高入場者数テーマパークを防衛
  2. TDLとUSJの入場者数の推移
  3. USJは何月が強かったのか?
  4. 3月の集客力の差異
  5. 繁閑差を月別で見る
  6. 日別の入場者数の年間推移
  7. 顧客の姿
  8. スーパー・ニンテンドー・ワールドの投資効果

USJが日本国内最高入場者数テーマパークを防衛


TEA(THEMED ENTERTAINMENT ASSOCIATION)
が毎年発表しているテーマパーク入場者数のランキングが9月に公開されました。
2023年は世界的にコロナ禍が解消されて、大部分の施設はコロナ禍前の運営状態に戻っている中での実績です。結果は以下の通りです。


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マジックキングダム、ディズニーランド(アナハイム)の2強は変わらず。
3位には日本のユニバーサルスタジオジャパン(USJ)が入りました。4位が東京ディズニーランド(TDL)で、なんと2022年に続いて、USJが日本国内で最もゲスト数の多いテーマパークとなりました。
昨年はコロナ禍が収束しきっていない状態でしたので、言うなれば暫定チャンピオンみたいな印象だったのですが、今年は文句なしの王座防衛となりました。しかも、昨年は35万人の差でしたが、今年は90万人と大きく差をつけての王座防衛です。

TDLとUSJの入場者数の推移

TEAの過去のレポートから、TDLとUSJの過去の入場者数の推移を見てみます。参考までに東京ディズニーシー(TDS)のデータも付けてみます。


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コロナ禍前はTDSを上回ることは何度かありましたが、2022年以降はUSJがTDLを上回る結果になりました。そして2023年のUSJは過去最高の入場者数となっています。

 

USJは何月が強かったのか?

当たり前ですが月毎の入場者数はどちらの施設も公表していません。そこで両施設の混雑カレンダーを掲載しているサイトの情報を基にして月別の入場者数を推計し、対比してみます。(あくまでの推計なので本当の施設の実績値との乖離については責任を持ちませんのでご了承ください)
月毎の入場者数を比較してみると以下の通りになります。


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月毎の入場者数を見ると目立つのは3月です。両施設とも3月は集客力が年間で強い時期でありましたが、今回はUSJの伸び方が突出しています。
一方TDLは10月以降にハロウィン+クリスマスで挽回しましたが、USJには及びませんでした。

ちなみにTDLが年間入場者数1791万人と最も入場者数が多かった時期と比べてみると、


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やはりTDLも3月に大きく入場者数を伸ばした年が年間入場者数を伸ばすようです。

一方でUSJは入場が好調だった、2018年や2019年、初めて日本一の入場者数になった2022年と比較してみると以下の通りになります。


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各月毎の入場者数を累計してみると、2023年は3月、10月以降が2022年以前よりも入場者数を増やしています。


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3月の集客力の差異

2023年の年間入場者数の差異の要因としては「3月の集客力の差」が大きいようです。そこで、3月の日別の入場者数を見てみます。


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TDLは3月20日頃から集客を伸ばしています。春休み集客ということになります。一方でUSJは3月に入ったと同時に平日も休日も関係なく高い入場数で推移しています。入場者数が落ちているところは雨天の影響がほとんどです。


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TDLの年間入場者数が最大だった2019年で同じことを算定してみると、TDLもUSJも3月20日(春休み開始)以降で入場を伸ばすような傾向がありました。
2023年は3月期に月間通して集客が好調だったことがUSJの年間入場者数を押し上げた最大の要因だったようです。

 

繁閑差を月別で見る

2023年の月別の繁閑差を見てみます。繁閑差は「入場者の多い日÷入場者の少ない日」で求められるので、数値が小さければ平日も休日も同じように来ているという解釈になります。


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繁閑差が小さくなっているのが
TDLは3月、7月、11月、12月
USJは3月、7月、10月
USJは3月と10月の繁閑比がほぼ2.0。つまり3月と10月は平日でも休日のように混雑している状態であったことがわかります。

ちなみに、3月のUSJは

常設施設

スーパー・ニンテンドー・ワールドの人気継続
ハリポッターエリア「マジカルクリーチャーズエンカウント」開始
NO LIMIT!!パレード開始
ユニ春(2023年春時期学生対象の大型割引施策)


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COOLJAPAN

呪術廻戦(2022年9月から継続)
SPY✕FAMILY
ドラえもん
モンスターハンター
名探偵コナン


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と、日本の人気アニメが目白押しでした。

一方10月は
2019年以来4年ぶりの開催「ハロウィンホラーナイト」
人気アーティストADOの曲をダンスで採用


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とこれまでにない力の入れようであったので、平日も休日も大盛況となった可能性が高いと思われます。

 

日別の入場者数の年間推移

2023年の入場者数を多い順に並べて、TDLとUSJで差を見てみます。


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繁忙日ほど差が多くなっています。ゲストが多く来場する日になればなるほど,USJが多くゲストを取り込んだということになります。

USJだけで2019年と対比してみると以下の通りです。


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こちらも繁忙時期に多く差が出ています。これはスーパー・ニンテンドー・ワールドができたことで施設の回遊面積が広がったことも要因の一つと思われます。

スーパー・ニンテンドー・ワールドの開業により施設の収容能力が上がり、繁忙時期でもより多くのゲストが入れるようになったということでしょう。

 

顧客の姿

3月や10月の平日にゲストを取り込むことができたのが今回のUSJの勝因と思われますが、この時期に来場できるゲストは学生が中心になると思います。特に大学生や高校3年生などは3月の上旬から春休み期間になり、この層が流れてきた可能性があります。

もう一つは、TDLもUSJも遠い地域からの来場者の存在が考えられます。この層の目当てはやはりスーパー・ニンテンドー・ワールドになるのではないでしょうか?

従来、TDLに向かっていた若者層が、アニメコンテンツやスーパー・ニンテンドー・ワールドの影響でUSJに向いてしまった。
こう考えると、TDRの入場者で18-39歳の比率が2023年に急速に落ちたことに一応の回答が得られます。

 

スーパー・ニンテンドー・ワールドの投資効果

2023年の入場者数のすべてがスーパー・ニンテンドー・ワールドを求めて来たとは思いませんが、2019年以前の混雑状況を考えると、2023年の1600万人はスーパー・ニンテンドー・ワールドができたことによる施設拡張がもたらした影響はあると思います。

スーパー・ニンテンドー・ワールドの投資額は600億円以上。完成前のUSJの入場者の最高値は2017年の1494万人(≒1500万人)なので、100万人増加させたことになります。

つまり、スーパー・ニンテンドー・ワールドはゲスト1人あたり6~7万円の投資だったことになります。

USJが開業したときには1800億円の投資で1000万人の入場者数とだったのでゲスト1人あたりの投資額は1.8万円。ゲスト1人あたりの投資で考えると開業時の4倍近くの投資だったと考えられます。

ちなみに、TDRが2024年に開業させたファンタジースプリングスは3200億円をかけて、700億円の増収だそうです。

TDRの客単価は2023年で16,565円なので、700億円分の売上には、423万人が必要です。

これを投資額で割ると一人当たり75,726円。

ファンタジースプリングスはホテル建設費も含まれています。
ディズニーランドホテルが440億円の建設費だったので同じくらいの費用をホテルのかけているとすれば、パークゲスト一人あたりの投資額は65,313円。

スーパー・ニンテンドー・ワールドと同じような規模です。

2024年の6月開業なので、来年のTDRの反撃はどうなるのか?楽しみです。


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