テーマパーク理論で商店街も観光地も今よりもっと元気になれる(序論)
目次
先日決算が発表されたTDRですが、飲食と物販の売れ行きが他の施設に比べると圧倒的なことは有名です。では、商業施設とTDRの飲食や物販を比較するとどうなるのでしょうか?
商業施設としてのTDRの実力
TDRの中で飲食と物販だけを抽出して比較します。日本の百貨店の売上高と比較すると、第三位に入ります。日本の百貨店の5位くらいまでの順位はこの10年ほど不動なので、日本で3番目に売上が高い百貨店施設はTDRということになりますね。
ショッピングモールとの比較では、日本で最も売上高が高い「イオンレイクタウン」が1450億円なので、圧倒的にTDRが上です。

坪効率で見る
日本の独自の指標かもしれませんが、「月単位で1坪当たりどのくらいの売上を上げるのか」が坪効率です。TDRの飲食店舗や物販店舗の面積は公表されていません(公表されるはずがない)ので、ここではテーマパークを計画する際に使う指標を用いて推計します。
2025年のTEA統計の入場者数はTDLが1510万人、TDSが1244万人です。ここから一番混雑する日の入場者、更にはその日の最も混雑する時間の園内滞留者を算出し、その人数を捌けるだけの飲食や物販の施設規模を用意すると考えます。

すると、飲食店舗44,630㎡、物販施設31,289㎡となります。TDLとTDSの顧客が動き回れる面積の合計は1,140,000㎡(114ha)なので、このうち6.7%が飲食や物販施設として利用されているということになります。
そして月当たりの坪効率は飲食 59.5万円、物販144.4万円、全体では94.5万円となります。これまた百貨店と比較すると全国3位に入ることになります。
百貨店は屋内の施設ですが、屋外型のショッピングモールと比較してみます。ショッピングモールは良いところで40万円程度ですから、圧倒的にTDRが多くなります。

一般店舗と比べて見る

日本国内の様々な飲食や物販の業種も坪効率の統計が取れていますのでこれと比較します。経営が安全な状態の坪効率はどれも40万円以下なので、TDRの半分以下ということになります。
1時間当たりの売上
坪効率で見ると通常の店舗はTDRに太刀打ちできません。しかし見方を変えると違った印象になります。

月坪効率をもとにして、1時間あたりでどのくらいの売上(時間売上)になるのかを算定して、比較してみます。店舗で考えると、個人経営の店舗の2軒分以上の売上を出しているのがTDRの店舗ということになります。

ラーメン屋さんで考えて見ると、街中では838円しか払わない顧客がTDRでは1396円払うことをためらわない顧客になる。もしくは街中には838円しか払わない顧客が来て、TDRには1396円払う顧客が来る。
同じ客なら意識が個人店舗とTDRでは消費力が変貌することになります。違う人ならTDRには金払いの良い客が来ていることになります。

そこで、テーマパークに来る顧客がどのように構成されているのか?考えて見ます。
テーマパークの顧客は二種類
テーマパークに来る顧客には二種類あります。
ビギナーとリピーターです。
単に回数が多い少ないというだけではありません。
ビギナーの来訪目的は「非日常性の体感」「気持ちリフレッシュ」などが中心で、施設が提供するものを受動的に楽しもうとする意識が高い人です。
一方で、リピーターになると「マイニング(宝探し)」「サポーター(参加者意識)」を持って来訪します。施設が提供するもの以外で自分が目指しているものを体験しようという能動的な行動をしたいという意識が高くなります。

このような目的や意識の区分で顧客を考えると、ビギナーは来訪回数が少ない人が多く、リピーターは来訪回数が多い人が多くなるということになります。
それぞれが嫌うこととしては
ビギナーは「現実に戻される瞬間」や「想定以上の混雑(期待通り楽しめない)」ことが多くなります。
リピーターはマイニングが目的の人は「マンネリ化(マイニングすることがなくなる)」、サポーター目的の人は「悪評、不評(自分の推しを否定されることになる)」などを嫌います。
テーマパークの集客施策は「変換力」と「リピート策」だけ

では彼らはどのくらいの頻度で来るのか?
もし、30万人の人が毎週1回ペースで年50回来てくれたらそれだけで年間入場者数は1500万人です。
- 年2回程度の人が100万人(=200万人)
- 月1回(年10回)程度の人が40万人(=400万人)
- 週1回(年50回)程度の人が20万人(=1000万人)とすると、
年間来場者数は1600万人です。
20万人の人が毎週来てくれれば年間入場者数の6割以上を確保できるのです。年間入場者の1.25%です。
年間入場者数の3%未満の人が何度もリピートして年間入場者を支えているというのがテーマパークをはじめとした多くのレジャー施設の集客の構図です。
つまりテーマパークの集客は、
ビギナーをリピーターに「変換する力」と多くの回数リピートしてもらうための「リピート策」の二つ
によって達成されるということになります。
観光地や商店街への転用
テーマパークの顧客の分布を観光地や商店街の利用者に置き換えてみます。同じような分布になると思います。
- テーマパークのビギナー層→旅行や観光目的での域外からの初めての利用
- テーマパークの月一程度来る層→一度来てお気に入りとなり再び利用
- テーマパークに週一程度来る層→地元住民の日常的な利用

次に観光地や商店街は「廃れる」ロジックを、「テーマパークの廃れ方」から類推してみます。
月毎の入場者数の対比では類推がうまくできません。
しかし、入場者が多い順に並べて見ると、二つの傾向がわかります。
右のグラフでは最高値が減少していることと、縦軸2000~4000の減少が増えています。

テーマパークも観光地や商店街でも繁閑差があります。
繁忙期になればビギナー層が増え、相対的に地元利用は減る。
中間期はビギナーからライトリピーターになった層と地元住民中心の利用。
閑散期は地元住民中心の利用となるでしょう。
廃れるとは何か?
廃れるとは3段階で発生します。
- 第1段階:中間期の減少が始まる(→一度来てお気に入りにならない、ライトリピーター減)
- 第2段階:繁忙期の減少が始まる(→目的候補に入らなくなる、ビギナー減)
- 第3段階:閑散期の減少が始まる(→日常的な利用が減少する、ヘビーリピーター減)

商店街や観光地が廃れる理由
ネット検索でこのワードを入れて見ると以下のような回答が出てきます。
商店街
- 1カ所で買い物が解決しない
- 接客力がない
- 商品に魅力がない
- 老朽化している
- 活気がない
- 雰囲気に魅力がない
観光地
- 接客力がない
- マンネリ化している
- 老朽化している
- 活気がない
- 戦略がない
- オーバーツーリズム
実はテーマパーク以外のレジャー施設でも同様の問題を抱えているところは多数あり、これを防ぐ手立ては現在経営が安定しているテーマパークの手法を用いることが有効な場合が多数あります。

課題を感じているのであれば、まずは先ほどの廃れ具合がどの段階まで来ているのか?そして、自分たちの観光地や商店街の課題はどれなのか?を吟味する必要があります。
そしてそれに対しての改善目標を決めてテーマパーク理論で払しょくしましょう。これだけでも今までとは違う街になるはずです。
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