【093】大きいの一つより中規模を二つの方が良かったのでは?@上海ディズニーランド

上海ディズニーランドは今回のツアーで5回目くらいの来場回数になります。いつも思うのがその大きさ。東京ディズニーランドならば4、5周回ってもそんなにきつくないのですが、上海は2周もすればもう十分という感じです。

実際どのくらい広いか?というと敷地でいうと東京ディズニーリゾートが210ha(ヘクタール:100m×100m)に対して上海ディズニーリゾートは400haでほぼ倍。パークの面積は東京ディズニーランドが51ha東京ディズニーシーが49ha。これに対して上海ディズニーランドは公称91ha(GOOGLEMAPで計測した人のデータでは54haという話もある)。

敷地面積でいうとオーランドのディズニーワールドが11,000haで世界最大。

次がフランスのディズニーランドパリで1,942ha。この次が上海の400haとなる。ディズニーワールドはご存知の通りたくさんのテーマパークやホテル、商業施設などあり、ディズニーランドパリはホテルがかなり離れた場所にあったりするためパーク面積はそれほど大きくないが2つのパークがあります。そう考えるとこれだけの敷地を有効活用するのであれば、上海ディズニーランド一つではなくて、2つ以上のパークを作るべきでした。というか、二つ以上作りますと宣言してから始めれば良かった。

また、パーク一つ見ても単純に東京の倍の広さ(オンステージだけ見ると1.2倍という説もある)。ゲストにとっては足腰にかなり負担をかける施設であることがわかります。

ちなみに、ディズニーワールド内のディズニーランドであるマジックキングダムはパーク面積が43.3ha(Googleより)。これで年間2,000万人と単独パークでは世界一の集客数です(米国TEA社調べ)。遊ぶのは同じ人間なので広ければ良いというものではないのです。

世界中のディズニーランドはおおむね50haにプラスマイナス数haというところです。

上海ディズニーランドは国家の威信をかけたプロジェクトなのでお国柄を反映しての規模設定ということなのでしょうがマジックキングダムの規模が2つ入る広さに一つが作られているということになります。

さて、大きく作ることのメリットって何でしょうか?これは作った会社が「すげぇ!!」と称賛されることでしょう。これは中国では大事なことです。後は・・・。

一方で大きく作ったことのデメリットは何でしょうか?疲れる、全部見切れない、足が痛い・・・色々出ますが、私のような仕事をしている目線で見ると、最大のメリットはリゾートで必要な相乗効果が得られないことです。

東京ディズニーリゾートに来た場合で考えてみましょう。ランドとシー両方行こうとすればやっぱり時間が節約できるパークの近くに泊まりたいし、両方のパークに行く間は気分いいからホテルでの消費も伸びると思います。だからホテルも料金高くしても稼働率が上がる。

この最たる例がディズニーワールドでしょう。6つもパークがあれば弾丸ツアーで来る人はまずいないでしょうし、いる間はなんだかんだでホテルで消費します(自分もそうでした)。

しかし、パークが一つしかなかったら、パークに消費を集中させてホテルを含めた周辺いお金を落とさなくなるし、弾丸ツアーも可能なのでリゾート全体の客単価は悪くなるでしょう。

USJが客単価ではTDRにかなわないのはこうしたことが理由だと思っています。

もし、上海ディズニーランドに二つのパークを作っていれば、単純に2箇所分の売上が上がるのと周辺のパーク以外の施設にももっとお金が落ちたはずです。また、何年かの期間をあけて開業することでリピート率もアップするでしょう。イベントも期間をずらして2施設で交互に開催すれば混雑も分散できます。結構良いこと多いのです。

ディズニーリゾートの単価戦略はまさにここではないでしょうか?マジックキングダムの楽しみ方とアニマルキングダムの楽しみ方は全く違うし、だからこそ行ったら両方行きたくなる訳です。単純に2パークで2倍の売上というよりは、2倍以上の効果が出せる底力があったのに実にもったいない話です。

東京を見てみるとディズニーランドのお土産はディズニーシーでは基本的に買えません。その逆もまたしかり、ディズニーシーのダッフィーの人気があるからといってディズニーランドに何度も登場するようにはしていません。ランドで体験できること、シーで体験できることを迷惑に分けるからこそ両方のパークの個性が出てゲストが呼べるということです。

その意味では1パークでパレードルートも長くなり、そこに可能な限りのキャラクターをフロートに乗せて登場させてしまう上海方式は実にもったいないと思います。

今回世界のディズニーリゾートを見て改めて感じることは、リゾートはハードのチームワークが良くないと儲からないということです。チームワークは人間だけの問題ではないということです。

単にパークとホテルとショッピングモールを作ればいいというものではありません。それぞれに個性を持たせて違った楽しみ方ができるようにするから全ての場所にお金が落ちるのです。

 

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