【071】ディズニーランドはなぜ左回りに歴史の古い順に配置されているか?


仕事目線でディズニーランドに初めて行ったときにある人から教わったことがあります。

「ディズニーランドは左回りで回遊する人が多い」

その理由については教えてもらえませんでしたが、確かに左から回っていくとアメリカの古い時代から徐々に現代そして未来へとエリアごとに時代設定が変わっていくことが確認できます。アメリカの建国は1776年なので、250年分くらいの歴史ということになります。

日本書紀の記述を見ると日本という国ができたのが紀元前660年くらいとあり、天皇家は以降ずっと続いているから建国2680年。日本の歴史で作ったらとてつもない広さになってしまいます(笑)。



さて、なぜ左から回るのか?所説語る人に会ったことがあるのですが自分の中では矍鑠とせずにいました。しかしとあるテレビ番組がモヤモヤを吹き飛ばしてくれました。そこに出てきた話が

リングワンダリング

という人間の習性です。この言葉は遭難などの原因として使われるものだそうです。
人間は視覚と聴覚を封じた状態で好きな方向に歩くと、円を描いてグルグルと回るような軌跡になるというもの。そしてテレビの番組の実験では全て左回りでした(右か左かの論議はテレビではしていなかった)。ちなみにこの番組は有名な八甲田山の遭難事故の話だったのですが、この遭難した陸軍連隊も左回りにリングワンダリングに陥ったそうです。

この番組とは関係ない別の機会に聞いた話では「心臓が左にあるから左に向かってしまう」とか「感性をつかさどる右脳が左半身に命令している」とかいう話も聞きましたが、リングワンダリングという人間の習性によりとにかく無意識に進むと左に行ってしまうようです。



こう考えるとディズニーランドを左に回るというのはとても論理的な行動といえます。
視覚も聴覚も封じた状態でディズニーランドに来る人はいませんが、入場時の人込みやBGMなどに加えて、高揚感などを考えると視覚と聴覚を封じられたのと同じような精神状態ではないでしょうか?

もちろん、リピート率99%の施設ですから、ほとんどの人は施設を知っています。数少ないビギナー、ノープランの人などは精神的なリングワンダリングによって、左方向に向かってく・・・と考えると自分にはすごく腑に落ちます。



人間の習性ということは、左右の選択時に左を選択する方が精神的には心地よいということになるので、何かにつけてまずは左に曲がらせた方が良いということなのでしょうか?そんな視点で改めてディズニーランドを見てみます。

最繁忙日でアトラクションはキューラインを最大限使っているような状態の日にディズニーランドを左から回ると・・・当然大きなアトラクションは通路の左側にあります。ファンタジーランドやトゥーンタウンはこの原則が乱れます。

左側に見える大きなアトラクションの入口の先のキューラインはどちらに向かっている?って考えると

  • カリブ海賊 → 左方向
  • ジャングルクルーズ → 左方向
  • ビックサンダーマウンテン →山上った後左へ
  • ホーンテッドマンション → 左方向
  • スモールワールド → 内部が見えて際の所曲がり角は左方向
  • スペースマウンテン → エスカレータの後左方向

いわゆるディズニーランドの標準装備アトラクションの多くで最初は左方向に回りこんでいる作りになっていました。(ちょっと強引かもしれませんが・・・(;^_^A)

リングワンダリングという習性をうまく使うと滞留時間を延ばすことができるのかもしれませんね。



こうした理屈は、テーマパーク以外の商店などでも活用できそうです。できるだけ左回りに回る順路を作ってあげると店舗内での滞留時間を伸ばし、商品をよく見るという状況を通りやすいのかもしれません。特に昨今は密を避けるために入口と出口を分離するような商店も出てきているので、試してみる価値はあると思います。

お店の中にうまいこと顧客を”遭難”させてしまうための仕掛けとしてのリングワンダリング。客足が伸びない昨今、少ない顧客からより多くの消費を促すためにうまく活用したいものです。

 

 

 

 


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